スパーコンピュータ「京」の研究
2015/12/05
理化学研究所にて
864台並んだラック 「京」 |
京が設置されている理化学研究所 「計算科学研究機構」 |
システムラック内には、①システムボードが上段12枚、下段12枚の合計24枚入っています。 そして、1枚のシステムボードには4個のCPU(SPARC64TMⅧfx)が入っています。 したがってスパーコンピューター「京」には864台のラックがありますので、 CPUは総計82944個で構成されています。 |
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コンピュータについての基礎知識
コンピュータの5大機能 | ||||||||
スパーコンピュータもパーソナルコンピュータも①入力機能②記憶機能③演算機能④制御機能⑤出力機能は同じで、 これをコンピュータの5大機能といいます。その5大機能の処理手順について述べます。
①~④の処理は、各装置が独立して行う事はなく、すべて制御装置の管理・指示のもとに実行される。 CPU(Central Processing Unit)中央演算処理装置といい、コンピュータの演算と制御を行う。CPUは人間に例えると 頭脳に当たります。 |
コンピュータの5大機能と処理手順 |
※英数字や記号などは1バイトで、漢字など日本語は数が多いので2バイトで表します。
情報量(記憶容量)を表すKは大文字のKで表す。
スーパーコンピュータは1秒間に何回計算できるのか?
スパーコンピュータ「京」の1CPU あたり、128GFLOPS の性能を実現し、 CPUは総計82944個で構成されていますので、 FLOPSというのは、一秒間に何回浮動小数点演算が出来るかを表しています。 浮動小数点とは複雑な科学計算などで使用する桁数の大きい数値を表現するためのものです。 したがって、1京=10P(ペタ)だから、スパーコンピュータ京の性能は10P(ペタ)FLOPS といわれています。 スパーコンピュータ「京」のFLOPSを求めてみました。
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要するに、スパーコンピューター「京」は
1秒間に1京(10000000000000000)回計算できるのです。
スーパコンピュータの名前はここから生まれました。
京とはどれ位の数でしょうか?
表にまとめてみました。
大きさ・規模(国際単位系)
※大きさ(規模)を表す単位kは小文字のkで表す。
スパーコンピュータ「京」の速さはパソコンの何倍か?
現在、私のパソコンのCPUはCore i7(4コア)3.2GHzで 51.2G(ギガ)FLOPSあります。 スーパーコンピュータ「京」は 10.6P(ペタ)FLOPSですので、スパーコンピュータはパソコンの 何倍あるかを計算してみました。 スパーコンピュータ「京」はパソコンの21万倍の速さです。 |
ソフトウェア編
スパーコンピュータ「京」によって何が出来るか
コンピュータシミレーションの仕組み
知りたい現象について、 式を立てる。 |
方程式を、+、-、×、 ÷の式にする。 |
解き方(アルゴリズム) を考え、プログラムにする。 |
スパーコンピュータ で計算する。 |
シミレーション 結果。 |
事例1 ビリヤードの玉の 軌跡のモデル化 |
ビリヤード台上の玉の動きに影響を与える要素は次の通りである。
・台の大きさ・つくときの球の位置・つく方向・つく強さ ・球の回転・台と玉の反発係数・空気抵抗・転がり摩擦 ・他の玉の配置・穴の位置 |
ここでは、台の大きさ・つくときの球の位置・つく方向の三つの要素を選択することにする。 次に、玉の速度や時間の経過を考慮しないで、ついてから台に二度当たるまでの玉の軌跡を 球の最初の位置を点Q0(x0,y0)とし、球が最初に台に当たる場所を点Q1(x1,y1)、 |
球が角に当たった場合 | 球をOAと平行についた場合 |
事例2 打球はどこまで飛ぶか 打球の軌跡のモデル化 |
打球の位置に影響を及ぼす要素は次の通りである。
・初速度・打上げ角・空気抵抗・風 ・球の回転・地球の重力 |
ここでは、・初速度・打上げ角・地球の重力の三つの要素を選択することにする。 打球が打ち上げられた時点からの経過時間を変数とする動的モデルを作成する。 |
(問1)甲子園球場の打者からバックスクリーンまでの距離は118mでフェンスの高さは2.6mです。ホームランを打つには 初速度、打上げ角をいくらにしたらよいか。 |
初速度・打上げ角の数値を変えてみてシミュレーションしてみた。 すると初速度34.65m/秒(時速124.74km/時)、打上げ角45° でホームランになることが分かった。 |
(問4)バックスクリーンまで118mであり、フエンスの高さは2.6mです。 フエンスの上空何mで通過するか。 |
時刻tからt+1までの間も、打球の速度は重力や空気抵抗の影響を受けて刻一刻と変化する。より正確な |
医療・創薬分野 | ・心臓疾患の原因を解明 ・医薬品の開発を大幅に効率化 ・薬が効かなくなる!薬剤耐性化のメカニズムの解明 |
物質・エネルギー分野 | ・リチウムイオン電池の高出力化長寿命化と安全性 |
ものづくり分野 | ・自動車の大幅な省エネ、二酸化炭素排出量削減 ・低燃費タイヤ用ゴムの開発 ・世界に羽ばたくMade in Japan次世代ジェット機の開発期間を短縮 |
環境・減災分野 | ・高精細津波遡上シミレーションで正確な被害を予測 ・ゲリラ豪雨予測 |
物質と宇宙の起源と 構造 |
・超新星爆発を「京」で再現 ニュートリノ加熱説の正しさが、より明確に! |
まとめ |
私のパソコンのCPUはCore i7です。スパーコンピュータは最上位機種のCPU(Core i7) を内臓したパソコンを21万台並べたものになります。 尚、Core i7はintel製ですが、スーパーコンピュータ「京」のCPUはSPARC64TMⅧfx は富士通製なので、スパーコンピュータは富士通と理化学研究所で共同で開発された 国産なのです。 速さの秘訣は、前述のように、スパーコンピュータ「京」はCPUが82944個あり、 パソコンはCPUが1個しかありません。スーパーコンピュータはこのCPUを8万個以上使って 並列計算をしています。 並列計算とは、例えばかけ算1問解くのに1秒かかるとして100問を1人で解ければ 100秒かかるよね。それなら100人で解けば1秒で解けますね。分担すれば、すぐに終わる。 これが並列計算の仕組みです。 しかし、スーパコンピュータ「京」は82944個のCPU(SPARC64TMⅧfx)を並べています。これを ネットワークとして制御しなければなりません。そこでICC(インターコネクトコントローラ)を開発 しました。ICCはネットワーク(インターコネクト)は並列計算するための十数万台のパソコンを ネットワーク化する技術なのです。 この様に、スパーコンピュータ京は1秒間に1京回計算できる速さを持った技術で、ゲリラ豪雨 の予測、環境に優しい燃費の良い車の研究等、私達の日常生活と直結する研究をされています。 きっと、スパーコンピュータによってよりよい生活を送ることが出来るでしょうね。 2015/12/27 タッチ |